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学校長ブログ
式辞
今年は例年になく厳しかった冬の寒さもようやく和らぎ始め、春の息吹を感じられる季節になってきました。本日ここに常翔学園高等学校の2024年度卒業式を、卒業生、保護者、西村理事長先生をはじめとして、ご来賓の先生方とともに迎えられたことは、この上ない喜びです。保護者の皆様方には、卒業式を迎え入場するお子様の姿を目にされ、幼いころからの様々な思い出、そして本校の受験や入学時のことが思い出され、感慨もひとしおの事と思います。今日ここにお子様が卒業を迎えられましたこと、心よりお喜び申し上げます。またこの間、お子さまを温かく見守っていただき、本校の教育活動にも多大なるご協力を賜りましたこと、重ねてお礼申し上げます。本当に有難うございました。
さて、ただいま卒業証書を授与しました皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。常翔学園高校での3年間、常翔学園中学校からの人たちは6年間になりますが、皆さんにとっての常翔学園はいかがでしたでしょうか。いろいろなことがあったと思いますが、振り返ればあっという間だったのではないでしょうか。大変だったという人も多いかもしれませんが、この経験が財産となり、将来活きてきます。共に頑張った友だちは一生の宝。離れ離れになったとしても思い出の中でいつまでもキラキラと輝きます。3学期の始業式でもお話しましたが、私たちが何かに頑張るのは思い出を作るためではありません。しかし、結果として残った思い出はとても良いもので、この先何か辛いことが起こった時は皆さんの支えになります。体育祭や文化祭、そして修学旅行の思い出は格別と思いますが、普段の授業や部活動で、一つの目標に向かって友と一緒に汗と涙を流して頑張った思い出はかけがいの無いものとなります。
さて、突然ですが、ここで一つ質問をします。牛や馬は1頭、2頭、魚は1尾、2尾、鳥は1羽、2羽と数えますが、それは何故かご存知でしょうか。死んだ後に残るものを、数字の後に付けるのだそうです。つまり、牛や馬は死ぬと頭が残るから1頭、2頭、魚は尻尾が残るから1尾、2尾、鳥は羽が残るから1羽、2羽。上手くできすぎた話なので、ちょっと疑わしい説かもしれません。では、人間はどう数えますか。1名、2名です。人が亡くなった後には名前が残るんです。そして名前はあなたがあなたである、一番の証明、アイデンティティです。親が子にその名前をつけたのには理由があります。私の場合、名は「浩和」。父親の「浩一」の字を一字もらっています。「浩」という漢字の表す意味は「広々とした、大きい、ゆたか」、勢いよく水が広がる様子を表しています。「和」は「お互いを大切にし協力しあう、調和のとれた」という意味です。名は人を表します。つまり私の名前は、「大きく豊かな心を持ち、お互いを大切にする調和のとれた(組織をつくる)人」を意味しています。天命を知ると言われる50歳を過ぎてからは、「自分は自分の名前にふさわしい人間になれたのか」と常に問いかけるようになりました。そして何か大事な判断をしなくてはならない時、「それはおまえが人生をかけてやり遂げたい仕事なのか?」と、いつも自分自身に問いかけています。皆さんの名前も、ご両親が一生懸命考えてつけられた大変大事なものです。この機会に一度自分の名前について考えてみてください。
さて卒業生の皆さん、もう一つ質問です。皆さんは何のために生まれきたのでしょうか。この問いにすぐに答えられる人は、おそらくほとんどいないと思います。皆さんは、常翔学園高校を卒業する今から、人生をかけてこの問いの答えを探す旅が始まります。これは「自分探し」と呼ばれるものです。皆さんが高校に入学した時、同時に私も校長に就任しました。入学式の式辞で、This Is Your Life. と伝えたのを覚えていますか?皆さんの人生ですから、悔いの残らないように、高校の3年間で、自分の好きなこと、やりたい事をとことんやってください、と伝えました。それはできたでしょうか。新しいことや、新しい人々との出会いに心を広げて楽しみましたか?残念ながら、思ったようにできなかった人は、今からの人生でやってみましょう。環境が変わる今がチャンスです。
ジブリアニメ「千と千尋の神隠し」では、主人公の千尋は湯婆婆に自分の名前を奪われました。数々の冒険を通して最後に自分の名前を取り戻しましたが、同時に自分自身も取り戻したのです。皆さんの中にも、自分の名前と自分自身を無くしている状態の人も多いかもしれません。今からの人生で迷った時、「私は誰?」「私は何をしたいの?」と自分に問いかけてみてください。そして、千尋のようにその答えを見つける冒険の旅に出てみてください。人生とは、そこで出会う人たちのことであり、その人たちとあなたが一緒に作るものです。その人たちに情熱をもって自分の夢を語ってみてください。きっとステキな人生を送る事ができると思います。
今日の卒業式は、高校生活の終了とともに、人生の新しい船出を意味します。 その船出に対し、皆さん全員に心からエールを送りたいと思います。がんばれ!常翔生!
最後になりましたが、常翔学園高等学校が、皆さんの母校としていつまでも誇れる学校となるよう、これからも教職員一同で努力を続けていきます。これからも母校を訪れ、我々に成長した姿をぜひ見せに来てください。皆さんの今後の活躍を祈念して、私からのはなむけの言葉とさせていただきます。
2025年3月1日
常翔学園高等学校
校長 田 代 浩 和
卒業おめでとう!