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学校長ブログ
本日は東館4Fアリーナにて、中学校の百人一首大会が催され、アリーナには中学生たちの熱気で一杯でした。特に、人気のある歌の時は歓声も一際大きく響いていました。おそらく映画の影響と思いますが、「ちはやふる」の在原業平の歌が人気があるようです。
千早ぶる 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは
ちなみに、私の推しの一首は、これです。
ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ (紀友則)
静かで明るくのどかな上の句に対し、なんだかせわしなく寂しさを感じさせる下の句。春という季節は華やかで明るいのですが、同時に出会いと別れの季節でもあり、春という季節の持つ二面性と、「しづ心なく 花の散るらむ」という音の響きになんとも言えない魅力があります。
百人一首は鎌倉時代に編纂されたようですが、歌は飛鳥時代から鎌倉時代までのすぐれた歌人の歌を集めたものです。当時は歌を詠むのは文化人としての嗜みの一つで、貴族の間では上手に歌が読めないと出世に響くので、子どもの頃から漢詩や和歌を学んだことと思います。今年はNHKの大河ドラマ「光る君へ」で紫式部が主人公となり、1年間ドラマが放送されたせいもあって、和歌がより身近に感じられたように思います。その紫式部の歌も百人一首に入っています。
めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲隠れにし 夜はの月かな
大河ドラマでは藤原道長とのラブストーリーがフィーチャーされましたが、この句でたまたま巡り会えたのは、幼馴染の事のようです。 また、百人一首ではないのですが、私の大好きな歌は古今和歌集の小野小町の一首ですが、なんともロマンチックで、かわいい恋心を歌った歌です。
思ひつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを
実はこの歌は、最果タヒという詩人が、大変ステキな現代語の詩に変換しています。
愛してる、と、 あの人のことを思いながら 横たわる私の体のずっと下に、 湖のような恋心が広がり、そこに落ちていくように、いつも眠りに落ちていく、だからやっと君に巡り会えたのかもしれません。夢なのだと分かっていたら、もう目を覚まさなかったのに。生きていたら会えないのでしょうか。目覚めていたら会えないのでしょうか。愛していても、会えないのです、そう分かっている、知っている、私の指先に触れているその人、いつまでも、眠っていれば、きみは私のことが好き。
少し長いですが、Jポップの歌詞のようですね。興味のある生徒の皆さんは調べてほしいと思います。