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学校長ブログ

式辞
今年は例年になく厳しかった冬の寒さもようやく和らぎ始め、春の息吹を感じられる季節となってまいりました。本日ここに、常翔学園高等学校2025年度卒業式を、卒業生、保護者の皆様、西村理事長先生をはじめとするご来賓の先生方とともに迎えられましたことは、この上ない喜びでございます。保護者の皆様には、卒業式を迎え入場するお子様の姿をご覧になり、幼いころからの様々な思い出、そして本校の受験や入学時のことが思い出され、感慨もひとしおのことと存じます。本日ここにお子様が卒業を迎えられましたこと、心よりお喜び申し上げます。また、この間、お子様を温かく見守っていただき、本校の教育活動にも多大なるご協力を賜りましたこと、重ねて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
さて、ただいま卒業証書を授与いたしました皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。この3年間、皆さんにとっての常翔学園はいかがでしたでしょうか。さまざまなことがあったと思いますが、振り返ればあっという間だったのではないでしょうか。大変だったという人も多いかもしれませんが、この経験は必ずや財産となり、将来に活きてきます。共に頑張った友だちは一生の宝です。離れ離れになったとしても、思い出の中でいつまでも輝き続けることでしょう。この先、何かつらいことが起こったときも、皆さんの支えになります。体育祭や文化祭、そして修学旅行の思い出は格別だと思いますが、普段の授業や部活動で一つの目標に向かって友と共に汗と涙を流して頑張った思い出は、かけがえのないものとなります。
さて、皆さんのほとんどは、修学旅行等で飛行機に乗ったことがあると思います。この飛行機を発明した人は、皆さん誰もが名前を知っているライト兄弟ですが、意外とその実像は知られていません。
ライト兄弟は、実は大学を出ていません。オハイオ州で自転車店を営んでいました。当時、世界中で「人が乗る飛行機を作る」ことに挑戦していましたが、多くの研究者が事故や失敗を繰り返していました。兄のウィルバーはこう言っています。「空を飛ぶ機械はできる。問題は“制御”だ。」彼らのグライダー実験は失敗続きでしたが、それでも諦めませんでした。どうしても実験の結果が合いませんでしたが、失敗の原因を「勘」で済ませたくなかったのです。
その後、自作の風洞を作り、200種類以上の翼の形を実験した結果、当時、世界的権威だった研究者のデータが間違っていることを突き止めました。彼らが成功した要因はここにあります。普通なら「権威だから正しいはずだ」と思うでしょうが、彼らは自分たちで測定したデータを信じたのです。この姿勢こそが成功の鍵でした。
その結果、1903年12月17日、ノースカロライナ州キティホークにて、弟オービルがわずか12秒、距離にして36メートルの飛行を成功させました。人類が自ら操縦し、動力付きで飛んだ最初の瞬間です。成功したときの彼らの言葉は、「やっと“制御できる”と証明できた」でした。つまり、「飛ぶこと」よりも「コントロールすること」が大事だったのです。しかし、新聞もアメリカ政府も最初はそれを信じず、相手にしませんでした。世界が彼らを評価したのは、数年後にヨーロッパで飛行実演を成功させてからです。つまり、今までと違うことをやっても、なかなか信じてもらえない。しかし、自分を信じて継続することが大事だということです。そして「失敗はデータになる」ということです。
今、世界はAIの発展によって目まぐるしく変わろうとしています。事務系の仕事を中心に、多くの仕事がAIやロボット(フィジカルAI)に取って代わられるようになります。ChatGPTが登場したとき、最初はハルシネーションが多くて使えないとか信用できないといわれ、あまり評判がよくありませんでした。しかし、この3年で大きく変わりました。この調子でいけば、10年後の世界がどう変化しているのか、全く想像がつきません。
このような時代に大事なことは、自分とは何者で、人生で何を成し遂げたいのかを知っておくことです。そして、自分の理想とする世界を描き、仲間と共にそれを目指すことだと思います。最初はうまくいかないし、なかなか理解されません。結果もすぐには出ないかもしれません。しかし、それでも自分を信じて問い続け、検証し、改善し続ける。それがやがて「空を飛ぶ12秒」になります。
ライト兄弟にはこんな言葉があります。「飛びたいという欲望は、空という無限の高速道路で空間を自由に飛翔する鳥たちを、うらやましげに見ていた私たちの先祖たちによって、受け継がれてきたものなんだ。」夢は自分一人のものではなく、その夢を共有する多くの人々によって受け継がれていくものです。
私が校長に就任したとき、「生徒の皆さんが主体となる、生徒中心の教育」を教育方針の第一に掲げました。校則変更プロジェクトでは、積極的な意見を数多く出してくれましたし、入学式や卒業式でも活躍してくれました。また、体育祭や文化祭に加え、チャリティーコンサートや能登ボランティアも成功させてくれました。最終的には昨年、皆さんの想いが「常翔プライド2030」という形に昇華しました。これは、「生徒の皆さん自身の手で常翔を改革する、2030年までの12の目標とそのプロジェクト」から成っています。このような取組は全国的にも珍しいものであり、これを作り上げた皆さんを、私は心から尊敬します。飛行機の夢と同様に、皆さんの後輩たちの手によって受け継がれていくことを願っています。
さて、いよいよ卒業です。本日は高校生活の終了であるとともに、人生の新しい船出を意味します。その船出に向けて、皆さん全員に心からエールを送りたいと思います。がんばれ、常翔生!
最後になりましたが、常翔学園高等学校が、皆さんの母校としていつまでも誇れる学校であり続けられるよう、これからも教職員一同、努力を続けてまいります。これからも母校を訪れ、成長した姿をぜひ見せに来てください。皆さんの今後のご活躍を祈念し、私からのはなむけの言葉といたします。
2026年3月2日
常翔学園高等学校
校長 田 代 浩 和
卒業おめでとう!