学校長ブログ

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入学式式辞

2024/04/06

式 辞

 

皆さん、おはようございます。今年は3月が少し寒かったおかげでちょうど今、桜が満開になろうとしています。そのような中で2024年度常翔学園中学校・高等学校の入学式を挙行し、保護者の皆さま、西村理事長先生をはじめとするご来賓の方々と共に新入生の皆さんの入学をお祝いできる事は本当にうれしい限りです。

 

ただいま入学を許可しました新入生の皆さん、誠におめでとうございます。すべての教職員を代表し、皆さんの入学を心より歓迎します。皆さんにとって、今日の入学式はこれから始まる新しい節目の日になります。

 

保護者の皆様方におかれましては、本日は、お子様のご入学、誠におめでとうございます。そして、数ある学校の中から本校を選んでご入学いただいたこと、心より感謝申し上げます。私たちは、本日から皆様方の大切なお子様と共に生活をし、成長を支える事ができることを心からうれしく思います。何卒ご支援・ご協力の程、よろしくお願いいたします。

 

さて、まずは皆さんが入学した常翔学園について、少し説明をしておきます。常翔学園は、1922年、大正11年に開校した関西工学専修学校という学校に始まり、一昨年学園創立100周年を迎えた歴史ある学園です。現在は3大学、2高校、2中学を擁する関西でも有数の学園となっています。大変多くの卒業生が、国内外の各方面で活躍をされています。高校はこの関西工学専修学校中等部の流れを引き継いだ摂南工業学校と1933年開校の関西工業学校とが1948年に合併して新制高校の摂南学園高等学校となり、1950年に大阪工業大学高等学校に、2008年に常翔学園高等学校と改称して現在に至っています。一方中学校は、2011年に開校した大阪の私立中学ではまだまだ歴史の浅い学校ですが、ようやく13年が経ちました。本日入学の皆さんは14期生になります。

 

さて、皆さんにはまず、本校の教育の理念についてお話したいと思います。「自主自律の精神と幅広い職業観を養い、目的意識を持った進学の実現により、将来実社会で活躍できる人材を育成する」これが本校及び本学園の歴史をたどって、約20年前に再言語化した本校教育の理念です。

 

ここに「自主自律の精神」「職業観の育成」「目的意識を持った進学」「将来実社会で活躍できる人材」という、大事なキーワードが4つ出てきます。この理念からは、本校の教育の最上位の目的は、「将来実社会で活躍できる人材になること」となります。

 

皆さんの中には「別に将来活躍したいわけじゃない。」と思っている人も多いかもしれません。でもこう考えたことはありませんか。「なぜ僕は生まれてきたんだろう」「私はなぜこの家に、この両親のもとに生まれたんだろう。」

 

自然界では、どんな小さな命であれ、不要なものは一切ないと思います。皆さん方全員、必要だからこそ生まれてきたのです。であれば、皆さんがそこに生まれた理由、存在する理由、それを見つけること、探すことには大きな意味があり、よく「自分探し」と言われます。

 

本校には、その自分探しをするための多くのプログラムがあり、そこで職業観を育成することができます。AIが登場し、今の仕事の半分は将来無くなるか変化すると言われていますが、自分探しの第一歩、「自分は何者で、何が得意で、将来どんな事をしたいのか」を考えることは非常に大事な事です。人には必ず一つ以上の長所、得意分野があり、それを徹底的に伸ばす必要があります。それはいわば、皆さんに与えられた使命なのですが、その長所や得意分野が大学や上級学校での学びに繋がり、さらに職業にまで繋がるからです。

 

「目的意識を持った進学」とは、将来のやりたいことをさらに勉強するために最適な大学や学部学科に進学するという意味ですが、高校卒業後にさらに勉強はしたくないけど、良い就職をするためには仕方ない、と思っている人も多いかと思います。おそらくそれは勉強は面白くないという前提だからではないでしょうか。しかし、本来勉強は面白いものです。義務的にしなくちゃならないと受け身になるから面白くないんです。常翔では「皆さんの好きな事」を見つけて、ぜひその学びを楽しんください。教科の勉強だけとは限りません。部活動とか学外での活動でも良いんです。自分の好きなこと、得意なことを徹底的に伸ばしましょう。言われたからやるのではなく、自分のためにやるのです。だからこそ、「自主自律の精神」なのです。将来、成長した自分が世の中の役に立ち、周りの人たちを幸せにできるようになったら、どんなにうれしいことでしょうか。

 

ただし、自主自律で学ぶと失敗が付きものです。でもそれで良いんです。なぜかというと、人は失敗を通して学ぶからです。実は、良い教師は失敗をデザインします。人は失敗を繰り返して初めて真の実力をつけます。だから、良い教師は生徒にどう失敗させるかを考えるのです。反対にあまり経験のない教師は、できるだけ先回りして失敗をさせないようにします。そして失敗すると、そのような教師は自分や生徒を責めてしまいます。でも、それでは生徒は成長できず、自分はダメな存在と思い込んでしまいます。

 

保護者の皆さま、これと同じような事をされた事はないでしょうか。大事なお子様ですから、自分の子どもが失敗して傷つく姿は誰も見たくないものです。だから何かあったら、すぐに学校に口を出して、自分の子を守ろうとする親御さんがたまにおられます。しかし、子どもたちは問題を起こした時が、実は大きく成長できるチャンスなのです。また、どうしたらその問題を解決できるのか、皆なで考える事で、問題解決能力やコミュニケーション能力を育てる事ができます。そんな時に親が学校に口出しをすると、一方の生徒の問題のみが片付き、他方は我慢を強いらされる事があります。それが続くと問題がなくなった方の生徒は、困った事があれば親が何でも解決してくれるという他者依存の強い人間になってしまい、もう片方の生徒は誰も自分の事は考えてくれないと絶望感のみが残ります。もちろん、一方的ないじめに会っている場合などは、子どもたちの力だけで解決できなくなっているので、すぐに連絡して頂く必要があります。しかし、そこまでいかない場合は、できるだけ子どもたちの力で解決できるように我々教師は寄り添い、見守るようにしたいと思います。それこそが生徒の「自主自律」に繋がり、今日よく言われる本当の意味での「生徒支援」なのです。そして、生徒主体という流れの中で、本日は入学式終了後の教員紹介を上級生がやってくれることになっていますので、それもお楽しみください。

 

最後に、私の大好きな言葉を紹介したいと思います。This is your life.で始まる、アメリカのHolsteeという会社のマニュフェスト、日本で言う社訓です。英語の文章で少し長いですが、読むとすごく元気が出てくる文章です。This is your life でネット検索するとたくさん出てきますから、是非調べてみてください。

 

This is your life. とは、もちろん「これはあなたの人生です」という意味です。皆さんが生きていく人生は、他の誰でもないあなたのものだから、後で後悔しないように、自分で決めて、自分で責任を持って、自分の人生を楽しんでください。といった内容です。いろんな理由があると思いますが、皆さんは自分で常翔を選んで、本日入学されました。皆さんの人生ですから、皆さんが常翔でやりたいと思う事を思い切りやってください。そこには、こういう一文があります。「人生とは、あなたが出会う人たちの事であり、その人たちとあなたがつくるもの。」皆さんが、良い友人と教師に恵まれ、最高の学校生活を送られる事を祈念しまして、わたしの式辞といたします。

2024年4月6日

常翔学園中学校・高等学校

校長 田代 浩和