学校長ブログ

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高校卒業式 式辞

2023/03/01

式辞

 例年になく厳しかった冬もようやく寒さも和らぎ始め、春の息吹を感じられる季節になってきました。本日ここに常翔学園高等学校の2022年度卒業式を、卒業生、保護者、ご来賓の先生方とともに迎えられたことはこの上ない喜びです。保護者の皆様には、卒業式を迎え入場するお子様の姿を目にされ、幼いころからの様々な思い出、そして本校の受験や入学時のことが思い出され、感慨もひとしおだと思います。今日ここにお子様が卒業を迎えられましたこと、心よりお喜び申し上げます。またこの間、お子さまを温かく見守っていただき、本校の教育活動にも多大なる協力を賜りましたこと、重ねてお礼申し上げます。本当に有難うございました。

 

さて、ただいま卒業証書を授与しました皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。常翔学園高校での3年間、常翔学園中学校からの人たちは6年間になりますが、皆さんにとっての常翔学園は如何でしたか。いろいろなことがあったと思いますが、振り返ればあっという間だったのではないでしょうか。思い起こせば、皆さんは令和になって初めての入学生でした。しかし、入学直前の2月から新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、入学式当日に緊急事態宣言が発出され、学校は休校、オンライン授業、マスク生活、分散登校、試合や合宿、各種行事の中止や変更と続き、今まで当たり前であった日常が一変してしまいました。今ようやく第8波が収束し、マスクこそしてもらっていますが、卒業式もほぼ以前のように執り行えるようになりました。

 

この3年間はいろいろと制限が多く、思いっきり歌ったり、大きな声を出したり、友達とご飯を食べながら楽しく話をしたりという事はできなかったかもしれません。しかし、そんな中でも皆さんは努力し、工夫して学校行事を成功させてきました。国内に変更になった修学旅行や文化祭、体育祭など、いい思い出はたくさんできたのではないでしょうか。辛かったこと、苦しかったこともあるかもしれませんが、クラスや部活のいろいろな経験を通して、成長された事と思います。今、皆さんはそれを乗り越えて、ここにいます。今日は、皆さんそれぞれの頑張りに対し、心よりお祝いし、敬意を表したいと思います。本当によく頑張りました。今日の卒業を共に過ごしたクラスや部活の仲間たちと、これまでの頑張りに対しお互いをたたえ、喜びを分かち合ってください。そして、何より皆さんが今あるのは、保護者や家族の方々の支えと友人や先生方の応援があってのことです。それらの人たちへの感謝の気持ちも決して忘れないでください。そしてこれからは、自分が周りの人たちを支える番になるということを意識して、歩んで行って欲しいと願っています。

 

さて、皆さんに贈る言葉として、企業再生やエンジェル投資家としての活動をしながら、京都大学でも教鞭をとられ、若者中心に絶大な人気がありましたが、2019年に亡くなられた瀧本 哲史さんの言葉を紹介したいと思います。彼は「僕は君たちに武器を配りたい」という著書の中でこんな事を言っておられます。

 

日本ではいまだに「勉強して努力をすればかならず幸せになれる」という考えが、メディアを通して流布されている。しかし現実として、勉強、努力と収入はかならずしも比例しない。重要なのは、「コモディティにならない」という視点だ。経済学においてコモディティとは、「スペックが明確に定義できるもの」のことを指し、市場に出回っている商品が個性を失い、消費者から見たときに個性が感じられないような状態を「コモディティ化」と呼ぶ。たとえどんなに優れていたとしても、同じ商品を売る人が複数いれば、その商品はコモディティとなり、それは人材の評価においても同じことだ。資格や点数で自分を差別化しようとすることは、コモディティ化された人材になるということであり、最終的には「安いことが売り」という人材にならざるを得ないのだ。こうしたコモディティ化現象は、世界のあらゆる産業で見られ、その潮流から逃れることは、現代社会では誰にもできない。これからは企業においても個人においても、「コモディティにならないようにすること」が重要なのである。

 

では、どうすれば生き残れるのでしょうか。答えは「スペシャリティ」になることです。スペシャリティはコモディティの対極に位置し、ほかの人には代えられない、唯一の人物とその仕事を指します。ほかの人には代えられない、皆さんの自分だけのものはありますか。「そんな物はない」という人もいるかもしれません。でも、誰にだって、才能はあるんです。無いと言う人はまだ気づいてないだけです。世界一の自動車メーカー、トヨタの社長がアメリカの大学で演説した「自分だけのドーナツを見つけてほしい」という有名な言葉がありますが、まさにこのことです。皆さん、高校を卒業後は、その自分だけのドーナツを見つける旅に出てください。

 

最後に、もう一つ、アメリカの自動車メーカ―「テスラ」の社長、イーロンマスクの名言を送りたいと思います。

When something is important enough, you do it even if the odds are not in your favor.

「それがとても大事な事ならば、たとえあまり勝ち目がなくてもそれをやるべきだ。」

皆さんは、自分の人生を賭けてやろうとしていることはありますか。それは「夢」と呼ばれるものです。時にその夢は「身の程を知れ」とか「あなたのためを思って」といった言葉をかける人がつぶそうとします。ドリームキラーと呼ばれる人たちです。それでも諦めずに夢を追い続けるか、無難に諦めてしまうか、それはあなた次第です。周りのいろいろな状況から、夢を諦めてしまう人も多くいるでしょう。でも、あなたの人生なのです。失敗しても自分の責任。であれば、人生を賭けて実現したいという夢ならば、やってみる価値はあるのです。

 

今日の卒業式は、高校生活の終了とともに、人生の新しい船出を意味します。 その船出に対し、皆さん全員に心からエールを送りたいと思います。がんばれ!常翔生!

 

最後になりましたが、常翔学園高等学校が、皆さんの母校としていつまでも誇れる学校となるよう、これからも教職員一同で努力を続けていきます。これからも母校を訪れ、我々に成長した姿をぜひ見せに来てください。皆さんの今後の活躍を祈念して、私からのはなむけの言葉とさせていただきます。

 

2023年3月1日

常翔学園高等学校

校長 田 代 浩 和

卒業おめでとう!