プロフィール 北尾元一

2013年8月 3日

「くまモン」のブランド戦略

 大阪私立中学高校校長会の研修会に参加してきました。今年は熊本県を訪れ、そのなかで「くまモン」にみるブランド戦略という演題で熊本県のくまもとブランド推進課の方よりお話を聞く機会がありました。くまモンは「ゆるキャラグランプリ2011」で1位を獲得して以来、その認知度は年々増し、いまや国内だけにと留まらず、海外へも進出するという人気ブランドとなっています。もともとは九州新幹線開業をきっかけに熊本県の広報活動のためのゆるキャラとして考案されたのですが、当初のマスコミ報道などからして単なる通過駅になるのではとの危機感を持たれ、精力的に関西地域にPRを展開しようといろいろと努力されてきた結果、今があるとよくわかりました。2010年9月からの登場だったのですが、まずはくまモンを話題にしてもらおうと大阪を中心にストーリー性のある展開、口コミ等を期待した参加型の展開、話題拡散の段階に応じたPR展開を意識して広報活動をされたとのこと。第1段階は、熊本色を排除し大阪各地を徘徊、SNSを活用して話題にしてもらう、その後素性を明かして神出鬼没、ポスター駅貼りや中吊り広告、限られた予算で最大の効果をあげるため、ポイントはパブリシティー、キーワードは初めて(最初、最大、最高)、唯一(ここだけ)、トップ(知事からの)セールスということで、ゆるキャラでは初めてとなる吉本新喜劇出演、記者会見で全国46媒体が報道、県知事の橋下大阪府知事表敬訪問、2年目は食品企業に働きかけ、ばんぺいゆのぷっちょスティック、カゴメ野菜生活100デコポンポンミックス、いきなり団子チロルチョコなどの全国販売に繋げるなど次々と手を打たれ今日に至っています。先日は情熱大陸というテレビ番組で紹介され、パリでも大人気だったとのこと。くまモン商標を無料化していることもあり、くまモン人気にあやかった利用許諾申請がうなぎ上りで3月末で9353件もあり、今も増え続けていてその対応に追われているとのこと。今後は県民の幸せの象徴として、くまモンのブランド価値向上の取組、くまモンと熊本県の関連性強化、持続可能な仕組みづくりを柱として展開を行っていく予定とのこと。トップの理解と支援、SNSの最大限の利用、TPOに合ったメディア戦略など、中高や学園のブランド戦略を考える上でも非常に参考になりました。

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 熊本城では「おもてなし武将隊」というものが、城内のいろいろな場所で活動していました。夕刻には武将隊による夕涼みツアーも企画されていました。これも広報戦略の一環です。