プロフィール 北尾元一

2011年5月27日

メンデルのブドウの木

 ニュートンのリンゴの木と同じく、2009年東京大学より譲り受け、先月正門横に植栽をしましたメンデルのブドウの木を紹介します。このブドウは、約150年前遺伝学の基礎を築いたメンデルが、地元農家のワインの材料に使うブドウの品種改良試みるため、研究実験用に育成していた由緒あるブドウの分株です。メンデルは、エンドウマメの交配実験(1853~1868年)を基に「メンデルの法則」を発見した基礎科学の研究者の印象が強いのですが、ケーニギン修道院(現チェコ)の修道士として勤めていた傍ら、人の役に立つ農作物の品種改良などを修道院の庭で研究していたそうです。1913年に当時の東大植物園長がケーニギン修道院の遺跡を訪ねた際、旧実験園にあったブドウの分譲を依頼し、その翌年に東大植物園に送り届けられたものを繁殖させ、現在も大切に育成されています。その後旧実験園のブドウが枯れたことを知った東大植物園は、繁殖させた苗木を旧ケーニギン修道院(メンデル博物館)に里帰りをさせています。ニュートンのリンゴの木をともに大事に育てたいと思っていますが、こちらのほうが予想に反して元気が少しないのが気がかりです。

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